吊り足場って何?特徴や使用方法など徹底解説

皆さんこんにちは。

埼玉県川口市を拠点に、東京都千葉県

足場工事などを手掛けている株式会社西澤架設です。


足場工事は周囲の状況や使用用途に合わせて様々な種類があります。


その中でも、唯一、地面から組み立てずに

上から吊り下げる形状をしているのが「吊り足場」です。



今回は特殊な工事や通常の足場を建てられない環境で活躍する、

吊り足場について解説していきます。




■吊り足場とは



足場板を鉄パイプやチェーンを使って上から吊り下げる単管足場のことです。


下から足場を組み立てることが難しい場所に利用されます。

特殊な工事の場合、吊り足場でしか対応できないものもあります。


対応例:

 ・高速道路

 ・鉄橋などの高架物

 ・橋やダム建設の土木工事

 ・プラント設備やビルの組立現場

 ・高層ビルの吹き抜け工事や窓の清掃  など



地面との接点が少ないため不安定になりやすいので、

設置には細心の注意とスキルが必要です。



具体的な吊り足場の用途は下記の通りです。


・橋梁工事の橋げたの下端の作業

・建物のはねだしバルコニーの下作業

・極端な傾斜地や崖地で足場が地盤面にかけられない場合

・街中での高層ビル建設などで地盤面に足場が建てられない場合




■吊り足場のメリット



・通常の足場が組めない場所、吊り足場にお任せ!


狭小地や傾斜地など、

通常の足場ではスペースが取れない土地や

安定が保てない場所でも利用可能です。



・工期、短縮!


当初予定されていた足場の設置範囲が

工事の都合上追加で広がった場合において・・


通常の足場:

 下から組み上げる性質上、

 いったん解体→範囲を広げて再度組み上げる

 と、範囲の拡大には大変な手間と労力、

 そして人件費が必要です。


吊り足場:

 水平方向に組むため、

 解体の手間がいらず、追加で範囲を延長可能です!


このように、足場の施工範囲が広がった場合において

吊り足場の方が工期も短く済むことから、


従業員からは解体の手間いらずで喜ばれ、

クライアント様からもローコストで喜ばれるでしょう。



・広範囲での作業が可能!


足場を建てるスペースが限られている場合でも、

そのスペースの影響を受けずに広範囲の足場が組めます。



・作業効率が大幅に向上する!


通路や周囲の状況によって、

高所作業車が入れない場合や

荷揚げスペースが確保しづらい場合でも・・


吊り足場なら対応でき、作業効率が上がります。



・安全性が高い


吊り足場を活用するにあたって・・


デメリット:難易度が高く落下のリスクもある


メリット:一度組み立ててしまえば、手すりに囲まれた内部で作業でき、

     落下防止の安全対策も万全!

     

こうして、吊り足場の方がより安全に作業できます!



・通行を妨げない!


通常の足場は地上のスペースを使うため、

道路や歩道を塞いでしまうケースもありますが、


吊り足場の場合は、

安全確保が必要な作業範囲のみで収めることができます。



・高い位置の作業が可能!


高層ビルの吹抜けや窓の清掃など、

通常の足場では難しい部分における作業も可能です。




■吊り足場の種類



吊り足場は、設置方法から

「吊り”枠”足場」

「吊り”棚”足場」


に分かれています。


それぞれの違いや特徴について説明します



・吊り枠足場


既成の吊り足場を

直接鉄骨梁にぶらさげる方式の足場です。


活用例:鉄骨の組立て工事

    鉄骨材のボルト締めや溶接作業、

    鉄筋組立て作業などを行うために設置されます。



・吊り棚足場


鉄骨梁からチェーンを吊り、

足場用鋼管や丸太を井桁状に組んで

足場板を渡す方式の足場です。


活用例:鉄骨材のボルト締めや、

    溶接及び鉄筋の組立て作業などを行うために設置されます。




■吊り足場の組み立て方



吊り足場を設置していくあたって、

必要な準備、組み立ての手順

それぞれの工程で注意するポイントについて解説します。



① 作業内容の打ち合わせ


 リスクの高い作業や危険個所の確認を周知し、

 全員で点検確認します。

 こうして共通認識を持つことで事故防止に繋げていくのです。



② 有資格者の配置


 法令によって

 「足場組立作業主任者」「玉掛技能講習終了者」

 の配置が定められております。



③ 安全装備の点検


 ヘルメットや安全帯など、安全装備を点検します。

 使用する工具や資材の点検を行い、

 万が一異常が見られた場合は命にかかわるため、交換します。



④ 作業範囲の確保


 部外者の侵入や外部への落下物による危険を防止するため

 バリケートを設置するなどで作業範囲を確保します。



⑤ 安全装置の取り付け


 作業開始前に、親綱やスタンションの安全設備を再点検し、取り付けます。

  

 スタンション:

   墜落の危険がある場所に取り付けられる仮設の手すりのこと

   

 スタンションの間隔は10m以内に設置し、

 親綱は命綱を掛けやすい位置に設置します。



⑥ 吊りチェーンの設置


 吊りチェーンの間隔は1.2m以内とします。


 あらかじめ空けられた取付穴に設置し、

 必要に応じて専用クランプで増設します。



⑦ 単管パイプ設置 その1:親御パイプ


 ここから、単管パイプをチェーンに掛けていきます。

 

 最初に掛けるのが親御パイプ

 単管ジョイント部分は

 自在クランプで緊結して2つ以上使い

 安全性を確保します。


 危険な作業なので

 命綱による安全確保が必須です。



⑧ 単管パイプ設置 その2:ころばしパイプ


 続いて設置するのが、ころばしパイプという単管パイプ。

 親御パイプの上に0.9m間隔で設置していきます。


 ころばしパイプは滑ってずれやすいので、

 取り付け後はすぐに親御パイプと結束します。


 こちらも同様に命綱必須です。



⑨ 足場板敷き詰め


 ころばしパイプの上に、足場板

 重ねずに突き合わせで設置します。


 最低3点以上の支持点を確保し、安全を守ります。

 端部の突き出しも10cm~20cmの範囲で設置します。



⑩ 手すり兼用パイプの設置


 パイプを1.8m程度の間隔で垂直配置し、

 そこに水平パイプを取り付けます。

 

 最下段の高さは1m以下とし、

 必要に応じて中桟も取り付けます。



⑪ 安全ネットの設置


 網の継ぎ手部分が開かないように注意!

 結び紐は、一定以上の衝撃に耐えられるものを使用します。




■吊り足場の安全対策



吊り足場の作業中に起こりうる危険や

事故を防ぐための安全対策・管理方法について紹介します。




・安全用具を正しく使用する


 墜落防止用器具の適切な利用を徹底!

 下記のことをチェックしています。


  ①ヘルメットの安全保持期限を確認


  ②2丁掛けランヤード

   (転落防止を目的とした安全帯の中における、命綱部分のこと)

   を使う際、シングルランヤード2本で代用しない

 

  ③ランヤードは着用前に安全帯のD管と連結させる


  ④連結ベルトの安全ブロックを利用し、

   着用者が自分で連ける出来るようにすること

  

  ⑤衝撃吸収装置を利用


  ⑥胸ベルトや骨盤ベルトは緩みをなくし、しっかり固定



・積載重量を管理する


 それぞれのチェーンが負担する荷重のバラツキに気を配って、

 バランスよく配置します。

 

 資材の重量を把握し、過積載を回避することで

 倒壊のリスクを避けています。



・組立や解体の手順を守る


 イレギュラーが起きた際、自己判断で進めてしまうと

 全体に危険を及ぼす可能性があります。


 気になる点がある場合や

 手順通りに進まない事態が発生した場合は

 責任者への報告・相談を徹底しています。



・吊りチェーンやパイプの適切な固定と管理


 設置間隔を遵守し、しっかりと固定します。

 ダブルチェックを行って安全を守ります。




■まとめ


吊り足場の

特徴メリット・組み立て方法・安全対策

について紹介しました。


高速道路や橋などのインフラ設備の老朽化が進んだことによる

補修工事や掛け替え工事の需要が近年、増加しています。


なぜならインフラ設備や建物の多くが

東京五輪の開催などにより需要が爆発的に高騰しつつ、

かつ資金が潤沢だった高度経済成長期に建設されたものであり・・


現代に入って、これらが一斉に寿命を迎えようとしているためです。



こういった背景によって

今後もメンテナンス工事の需要が増えることが予測されます。


その結果、吊り足場を含む足場工事の活躍の場は、

今以上に増えていくでしょう!





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